ブルガリアの後の予定としては、
クロアチアからフェリーでイタリアに渡り、ヴェネチアからインドへ行く予定で、
インド行きのチケットもこのときすでに購入していました。
つまり、ヨーロッパにいられる期限が決まっている。
せっかくイタリアに行くのだからいろんな都市を見てみたいし、クロアチアもきれいな場所があるらしい。
インドへの飛行機に乗る日から日にちを逆算していくと、実はあまり日数の余裕がないことにこのとき今更ながら気づく。
ルーマニアでゆっくりし過ぎたか。チェコやポーランドにいるときは時間が余って仕方ない気がしてたのに。
ということで、ここからのヨーロッパ後半は駆け足気味で巡ることとなりました。
時間があればブルガリアの東側、黒海の沿岸や足を延ばしてギリシャにも行ってみたかったし、
マケドニアとアルバニアにもっとゆっくりいたかった。
コソヴォとスロベニアも行きたかった…。
仕方ない、またヨーロッパに来る言い訳として残しておこう。
ブルガリアのソフィアからバスで向かうのは、マケドニアの首都スコピエを経由した先にあるオフリドという湖畔の町。
ソフィアの駅のどこからバスが出るのかわからなくてうろうろしていると、おじさんが近付いてきて何を探しているのか聞いてきました。
バスの時間も迫っていたので、慌ててバス停はどこか聞くと連れて行ってくれるという。
ヨーロッパだからと気が緩んでいたからか、あまり疑わずにそのおじさんについていき、
彼が去り際に案内料を要求してきたときには、アジアでの旅を思い出して、むしろちょっと新鮮に感じました。
アジアやインドだったら勝手に案内を始めたりツアーを紹介したりしてお金を要求することは日常なので、まず信用しないのに。
1€渡すとそそくさとおじさんは去っていきました。1€でいいのか…
到着したスコピエのバスステーションは思っていたよりも大きくて賑やかでした。
チケット売りのお姉さんは英語が堪能で親切。
バスステーションに荷物を預けることもできるので(無料)、オフリド行きのバスを待つ間、スコピエを少し歩くことができます。
が、
意気揚々とバスステーションを出ると土砂降りの雨。
傘なんて持っていないので、濡れながらも歩いたスコピエの印象は暗くて人がいない。
そして、異常に銅像が多い。
橋の上にも、町の広場にも、大きいものから小さいものまで、人物像も、動物像も、とにかく銅像が多い不思議なところでした。
スコピエは、マザーテレサの生誕の地でもあります。モンテネグロ出身なんですね。
マケドニアと隣の国アルバニアには、その後のスケジュールの関係上一日ずつしかいられないので、
この日のうちにアルバニアの近くの町へ行く必要があり、両国にまたがるオフリド湖畔のオフリドという町に行きました。
バスでオフリドに着いたのは夜。
雨上がりの夜の旧市街はどの道も同じように見えてすぐに迷う。
迷いながらも地図を見ながらなんとか進み、小高い場所にあるSunny lake hostelにチェックイン。
明るい昼間に旧市街を歩いてたら、ちゃんと小さい看板があった。夜だと気づかないけど。
シーズンオフのためわたしを含めて三人しか客がいませんでしたが、静かな宿のベランダから見下ろすオフリドの夜景は素朴で美しかった。
チェックイン後、スーパーへ行ってみたら、マケドニアは夜21時以降アルコールの販売をしないらしく、しょんぼりして歩いてると、
愛想のいいかわいらしいいおじさんが焼き栗を売ってたので思わず買って帰りました。
翌日は順調に移動できたならば、オフリドからアルバニアの首都ティラナまで行きたい。
オフリドからアルバニアへ国境を超えるルートは二つあり、
一つはオフリド湖の北部にあるストルガと言う町でバスを乗り換えてティラナ行きのバスに乗る、北部を周る安心ルート。
もう一つは、オフリド湖南部を周るルートですが、
湖の南端、アルバニアとの国境近くにある聖ナウム修道院まではバスがあるものの、そこからアルバニア側の国境の町ポグラデツまでの移動手段はなし。
修道院から国境を越えてポグラデツまでの7kmを歩かなくてはいけないという冒険色の強いルート。
修道院は見てみたいけれど、バックパックを背負って7km歩いて国境を超えるなんて無理でしょ!
ということで北部周遊ルートを選択…
したかったところ、ストルガ行きの午前中のバスはすでに出発済みで、午後のバスまでかなり時間がある。
ただでさえ今日中にティラナへ行けるか不安なので、なるべく早く動きたい。
せっかくだし、修道院経由南部周遊ルートにするか!と気合いを入れてバスを調べると、これも午後までバスがない。
なんてこったー!もっと早めに調べておくべきだった。。。
ここで時間をかけてしまうと、見たいところが多いクロアチアの滞在時間がどんどん減ってしまう。
宿のスタッフに助けを求めると、オフリド湖上を修道院まで行くフェリーがあるかもしれない、とのこと。
「あるかもしれない」と曖昧なのは、このときはシーズンオフだったので運休しているかもしれないから。
でも、もう、行ってみるしかない!
湖畔へ行ってみると、小さなフェリーの看板(写真右下)。今日は運航してる!
あるかわからなかったフェリーを運良くつかまえ(フェリーは一日一本だったけど、時間もちょうど良かった!)、
オーストラリア人のおじいちゃん、おばあちゃんのツアーに紛れて、急遽オフリド湖フェリー移動で修道院へ行くことになりました。
雲(霧?)が幻想的な湖畔クルーズの途中で湖上集落のような場所に立ち寄るオプション付き。
到着したフェリー乗り場から聖ナウム修道院まではきれいな公園みたいな雰囲気で、お土産屋さんも並ぶんでいます。
レンガ造りの修道院は内部が厳かな雰囲気でした。
丁度お昼だったので、修道院脇のレストランでマケドニアバーガーなるものをオーダー。
徒歩での国境越えに向けて力をつけるためにしっかり食べる。
さて。
いざアルバニアへ。
修道院の裏手に周ると庭のような森のような場所があり、
そこへ続く細い道をどんどん進むと小さな礼拝堂や教会がぽつぽつとあり、それを巡るようなかたちで奥へ進んでいきます。
詳しい地図もないし、どの道が国境へ続くのか確信のないまま、「この道しかないよなぁ」ていう勘を頼りに、重いバックパックを担いで進みます。
この辺りは本当に水が澄んでて美しい。
この不安でしんどい状況の中、案外堂々といられたのは、空気がよくて自然が美しかったことと、天気が良かったおかげだと思う。
水の透明度や周囲の緑の深さ、静けさは、写真じゃ表現しきれない神聖さがあり、浸かれば清い存在になれそうでした。(小虫の多さもすごかったが)
道はどんどん獣道になり、道っぽい場所を辿っていきます。
辺りに誰もいない、森の道の途中の小さな礼拝堂を通り、
今まで見たことないくらいの透明度の池の脇を通り、
どんどん進んでいくと車の音が聞こえてきて、国境へ続く車道に近づいているのがわかる。
道は合っているようでした。
ついにアスファルトの車道へ出て!
通る車も少ない道を歩き、そこからは一本道。
やっとやっと辿りついた国境。
車の中からの人々の視線や係員の怪訝な顔が痛い。歩いてくる人はそんなにマイナーな存在なのか。
歓迎もなく、笑顔もなく、言葉をかけられることもなく、スムーズに問題なく通過。
スムーズ過ぎてやや寂しい。一声あってもいいのになー。
あと何キロこの面白くもない車道を歩けば町へ着くのかなーと思っていると、
後ろから来た一台の車がわたしの前で停車し、おじいちゃんが手招きをしている。
乗せてくれるらしい。
積極的にヒッチハイクをするつもりはなかったけれど、一台くらい止まってくれないかなーなんて甘い考えが、実はありました。
だけど、実際に2人のおじいちゃんと1人のおばあちゃんが乗る古く小さな車に乗せてもらい、
英語を話さない彼らと表情と単語だけでコミュニケーションを取り、
お菓子を分けてもらい、
最後にしっかりと握手をして颯爽と去っていく車を見送ると、
なんかもう、この人たちは善意と優しさだけでできているんじゃないかと思う。
そんな優しさの塊みたいな人を引き寄せて出会えた幸運を味わってから、ふと気づく。
ここはどこだ??