デリー初日にどうにかホテルに辿り着いて不安と緊張が溶けていき、ベッドへ横になったのが、まだ薄暗い早朝5時くらい。
暑さと外の賑やかな雰囲気で目覚めたのは10時。
すっかり明るくなった外を眺めると、たくさんの小さなお店が開いていて、その間を縫うように歩く色とりどりのサリーを着た女性と子供達、近くのお寺のような場所へ集まる人々、何かの食べ物の匂いとお香の匂い。
インドにいるんだなぁとようやく実感すると同時に、この新しい場所を見てみたい、見なくては、とうずうずしてきました。
そして歩いてみたオールドマーケットは、物と人と排気ガスと音が空間という空間を占拠していて、ヨーロッパでふやけた感性がどくどく脈打つような、五感の感度レベルが一段上がったような感覚に興奮したのを覚えています。
人によっては大変不快であろうこの場所は、わたしがこのとき求めていた刺激に溢れていました。
部屋に戻ってしばらくすると、モスクワで会ったアーヤが到着する予定の時間。
ここはインドだし、予定の時間なんて当てにならないよなーと思っていたら、ちゃんと予定時間にホテルに現れて、約二カ月ぶりの再会を果たしました!
旅慣れた彼女は、大したことないというふうに昼間のあのニューデリー駅をくぐりぬけて、きちんとホテルに着いたのでした。さすが!
今までの旅のこと、これからのインド旅行のこと、その他何でもない最近のことなんかをひとしきり話しました。
夜になってご飯を食べた後、ツアー主催者のイゴールと他の参加者とレストランで初顔合わせ。
初めての国で初めて会うロシア人と旅をするなんて、今考えると不安しか浮かばないのですが、アーヤの存在がとても大きくて、その時はすっかり安心してリラックスしていました。
明日の午前中には出発です。
翌朝、ツアー参加者4名にイゴールも含めて5名でニューデリー駅へ行き、まず向かうのはタージ・マハルのあるアグラ。
車内はこんな感じ。上下二段でファンがたくさん。空いてましたね~。
ツアーに参加することを決める前に、何がツアー料金に含まれているか何度もメールで聞いてみたのですが、詳しいことがどうもはっきりしませんでした。
そこに不安はあったのですが、なぜそんな回答だったのか、実際にイゴールに会って行動を共にしてみてよくわかりました。
それは、彼は非常に適当であるということ。柔軟と言ってもいい。
今回のツアーは、ホテルや現地ツアーをきっちり決めて回っていくようなツアーではなくて、
過去に何度もインドを訪れているイゴールの知り合いのリキシャ運転手やその知り合いのホテルなんかを利用するため、それらに決まった値段がないし、電車の運賃はその時に予約できる席の運賃になるので事前に値段がわからない。
そもそも、リキシャやタクシーの運賃、ホテル代は常に交渉制であって、決まった価格がないのだから、これらを利用するならば事前にツアー料金がきっちり出せるはずがない。
なるべく安い価格にしようとすればするほど、事前に料金が決められないのです。
なので出たとこ勝負にならざるを得ず、適当にその場に合わせて交渉していくしかない。
例えばアグラに着いてすぐに、親し気に話すこのトゥクトゥクおじさんに連れられて宿へ移動し、屋上の食堂でランチでした。
どうやらイゴールの顔見知りだったらしい。
その日はゆっくりして、次の日の早朝にタージ・マハルへ。
混むから早めに行くことになったけど、早朝からたっくさんのインド人が詰め詰めで並ぶ入り口は想像以上に混んでいて、タージ・マハルを愛するインド人の本気度を見ました。
早朝のタージ・マハルは美しく、大きかった。
振り返ると入り口はこんな感じ。
見たかったものをこの目で見れる幸せ。
すぐにインド人と仲良くなっちゃうイゴールにたくさん写真を撮ってもらって、ゆっくり過ごしました。
もうひとつ、彼のツアーで特徴的なのは、彼自身がとても楽しんでいること。
時にこちらがイライラするほどマイペースで休憩の多い彼は、平気で我ら四人を置いて自分の時間を作るし、迷子になった誰かを必死に探すわけでもなく、のんびり現地の子と話しながら待っている。
インドと写真と音楽が趣味であり仕事にもなっているイゴールを見て、こんなふうに生きたら楽しいだろうなぁと思ったものです。
まだまだたくさんの人が訪れる。女性の正装である色とりどりのサリーが白い大理石に良く映えて美しい。
今回のメインイベントのうちの一つを終えて満足感を覚えながら、アグラのもう一つの観光地アグラ城へも向かいます。