海外旅行をするときはどんなところに泊まりますか?
まず思いつくのはホテルですよね。いろんなタイプのホテルがあって選ぶのも楽しく、快適さも保障されています。
ですが、せっかく海外に行くので、普段の生活では触れることのない海外の生の感覚と「交流」するという視点を入れてみてはどうでしょう?
この交流の視点で見ると、ホテルはお客様とスタッフという関係が徹底しているので、淡白なものになりがちなのが少しもったいない。
今度の旅では海外ならではの宿泊経験をしてみて、いつもとちょっと違う滞在を楽しみませんか?
泊まる場所をいつもと違う選び方をするだけで、随分違った滞在になるはずです。
ホテル以外に考えられる滞在先は主に以下の5つですが、あなたの滞在条件(期間や場所など)によって選べる選択肢は変わってきます。
- ホームステイ
- ゲストハウス・ホステル
- 個人宅(Airbnb, HomeAwayなど)
- シェアハウス
- 住み込み(WWOOF, helpX, workawayまたはAu Pairなど)
1→5に向かってちょっと挑戦的な選択肢になっています。より交流、交渉、会話が必要なので、その分経験することも、学ぶことも多いと言えます。
それぞれの利点と不利点を詳しく見てみましょう。(価格は目安です。わたしはオーストラリアに長期滞在していたのでオセアニア地方の価格を参照しています。)
ホームステイ
海外留学と聞くと思い浮かぶ滞在方法ですが、学生に限らず旅行者でも体験できるプログラムもあります。
語学学校へ通う予定の場合、大抵のホームステイ先は語学学校と提携していて、語学学校の申し込み時に一緒に申し込みます。
費用の目安は一週間で20,000~28,000円前後ですが、場所(国や都市)や期間によって変わります。
ホームステイの良い点は、
- 英語環境で現地の生活を体験できる
- 食費(朝食、夕食)、光熱費込み
- 個室が用意される
- ステイ先によっては週末に一緒に出かけるなどの交流がある
- 学校に通う場合は、ステイ先が語学学校に近いことが多い
- ファミリーが英語のつたない人、海外生活に慣れない人に接し慣れている
ステイ先は、ホームステイファミリーとして登録するための条件や基準を満たした環境なので安心ですし、確実に英語環境が手に入ります。
普段から外国人を受け入れてくれる方々なので、こちらのつたない英語にも慣れていて、辛抱強く耳を傾けてくれますし、生活で必要なこと、困るだろうことを心得ているのでしっかりサポートしてくれます。
地元の一般家庭の生活に入り、お客さんのような存在としてでなく、家族の一員として迎え入れられます。わたしがホームステイをした時には、幼い兄弟のケンカに巻き込まれたり、夕食後に映画を一緒に見たり、週末にビーチへ一緒に連れて行ってくれたりと、普段の生活にすんなり混ぜてくれたので気を遣わず心地よかったです。
誰も知り合いがいない海外で、自分を家族のように扱って心配してくれたり大事にしてくれる人がいることは、何よりとても心強かったです。
知っておいたほうがいい点は、
- 英語環境ではあるが、移民の家族などホストファミリーの母国語は英語でないこともある
- 食事が口に合わないこともある
- ホストファミリーと相性が合わない可能性もある
- 日々の交流が少ない家庭もある
- 他の滞在方法よりも費用が高い
わたしのホストファミリーはドイツ系移民の家族でしたが、家庭内は英語でしたし、わたしからすると完璧な英語を話していたので全く問題なかったです。ホストファミリーは地元の人ばかりでないことを知っておきましょう。
また、わたしのホストファミリーはお父さんは不在でお母さんと幼い子供二人の家庭でした。お父さんが出張などで長期不在だったのか、シングルマザーだったのかはわかりませんが、そういった家庭もホームステイを受け入れてくれています。
同じ語学学校でホームステイをしていた友人は、毎日夕食がマクドナルドやファーストフードだし、ファミリーと話す機会も少なくてほぼ一人暮らしみたいだと言っていました。
世間話をしたりなどの交流の機会もファミリーの状況によっては少ないこともありますし、週末に一緒に出かけることもないかもしれません。
どのようなホームステイ先になるかはどうしても運次第ですし、ホストファミリーとの相性は実際に会って話したり、暮らし始めてみなければわかりません。
自分が望んだステイと違いすぎる場合は、泣き寝入りして諦めるのでなく、学校やエージェントなど仲介してくれた方に問い合わせて自分の現状と意見、希望を伝えましょう。
希望が通るかどうかは状況によりますが、せっかくの時間が悲しい思い出にならないよう、自分から掛け合って後悔のないようにしたいですね。
ゲストハウス・ホステル・バックパッカーズホステル
近年、日本への外国人旅行者が増えたこともあり、ゲストハウスという安価な滞在先が日本でも多く見られるようになりました。気軽に利用できるので宿泊したことがあるという方も多いのではないでしょうか?
日本では「ゲストハウス」と呼ぶことが多いですが、海外では一般的に「ホステル」と呼びます。
オセアニア(オーストラリア、ニュージーランド)では「バックパッカーズホステル」または「バックパッカーズ」(を略して日本人の間では「バッパー」)とも言います。
価格帯が安いこともあって、世界旅行中の大きなバックパックを背負った若者を多く見かけますし、長期旅行者がシェアハウスのように暮らしていたりもします。
かと思えばおばあさんがひとりでやってきて数泊していったり、家族旅行で個室を利用していたり、とホステルの場所や規模、時期によって雰囲気や客層は大きく違います。だからこそ思いがけない出会いがあったりもします。
基本的には二段ベッドを置いた相部屋とダブルベッドやシングルベッドが置かれた個室があります。 相部屋は男女混合の部屋と女性専用の部屋があり、女性専用の部屋の方が値段は若干高いことが多いです。
トイレやシャワールーム、洗面台などは共有の設備になっていて、キッチンがあり、食器や調理道具が揃っていて自炊ができます。
コインランドリーがあったり、アイロンやヘアドライヤーが借りられるサービスがあったり、バーやツアーデスクが併設されていたりと、そのホステルによっていろいろなサービスがあります。
費用の目安は相部屋で一泊1,500~3,000円あたりです。
バックパッカーズホステルに泊まる良い点は、
- 予約、チェックインなど宿泊に関する一連の手続きを自分で行う経験ができる
- 年齢も国籍もばらばらの様々なひとと知り合いになる機会になる、話が聞ける
- 英語を使う機会が多い
- 自炊をしたり共有のリビングルームで寛いだりと海外で生活しているように過ごせる
- 知り合ったひとと遊びに行ったり、ご飯を一緒に食べたりなど交流の広がりがある
- ホステル主催のイベントやツアーなどに参加できる
- 一人になることがあまり(いつも誰かいる)ないので寂しさが紛れる
- 価格が安い
- 慣れれば、世界中どこに行っても同じタイプの安宿に泊まれる度胸がつく
なんと言っても海外旅行に来ていることを肌で実感できます。
周囲にいるのは世界中のいろいろな国から旅行に来てる人ばかりなので、自分もその一人であることを感じられます。普通にホテルに泊まっていると、そんな人と話したり知り合いになる機会はないと思うので、面白い経験ができると思います。
キッチンではいろんな国の人がいろんなものを作ってますし、彼らがリビングで自由に時間を過ごして寛いでる姿を見ると、「海外に来たんだな~」と感じますよ。
出費を抑えながら旅行している人が多く、スタッフはその対応に慣れているので、旅の情報をもらえたり、安くて美味しいお店などを教えてくれたりとフレンドリーです。
また、ホステル主催のツアーや、無料のBBQやパンケーキの日が設定されていたり、併設のバーで特別価格のドリンクがあったりと、楽しめるようなイベントがあったりもします。
ホステルを選ばなければ話すことがなかったかもしれない人と、一緒にごはんを食べたり、生涯の友人になったりするかもしれませんね。
知っておいたほうがいい点は、
- トイレやシャワーなどは共有なので、混み合ったり、清潔でない場合もある
- 相部屋に慣れないと眠れなかったり、他の人に気を遣いすぎてしまうこともある
- バー併設のところやホステルのイベントがあった日などは騒音が気になることもある
- 盗難やベッドバグ(南京虫)の被害に遭う可能性がある
- 同室の人によっては必ずしも英語環境とは限らない
- 相部屋の場合はプライベートスペースがないので落ち着かないかもしれない
相部屋であることが、仲良くなりやすく孤独を感じにくいというプラスの面にもなりますし、プライベートな空間がなく安心できないというマイナス面にもなり得ます。
そういった面の許容できる範囲は個人によって差があると思いますので、自分の性格や好みを重視して、心も体もちゃんと休める環境を選びましょう。
人生経験として試しに1~2泊だけしてみたり、別のホステルに変えてみる、同じ宿でも部屋を変えてみるということもできますし、柔軟に考えて大丈夫です。ホステル側も結構柔軟に対応してくれます。そういった変更の手続きをしたり交渉するのも、英語を使ういい機会とも言えますしね。
また、残念ながら部屋で盗難の被害に遭うということもあります。ホステルだけでなくどこでもあり得ることですが、ロッカーに鍵をかけたり貴重品は持ち歩くなど自己責任で管理しましょう。
日本は安全な国なので、日常の危機管理に関しては甘いところがあります。警戒しすぎて行動範囲や選択肢が狭まるのは避けたいですが、たとえば、
- パソコンや携帯電話をベッドの上に無防備に置いておく、充電しておく
- 席を取っておくために携帯電話や貴重品をテーブルの上に置いておく
- 食事中に座っていた椅子にバッグをかけたり、隣の席に置いておく
- 混んでいる店内や町の中で肩掛けバッグを背後に向けてかける
- ATMからお金をしまいながら出てくる
などの日本でよく見る行動はしないようにしましょう。簡単に盗難に遭います。自分で避けられるリスクは避けましょう。
もうひとつ注意したいのは、ベッドバグ(南京虫)です。聞いたことはあるでしょうか?
5mmほどのトコジラミの一種で、噛まれると猛烈な痒さとアレルギー症状が起こります。わたしは幸運にも被害に遭ったことはありませんが、友人が何名か被害に遭っていました。
ベッドバグは人の持ち物や衣服にくっついて移動し、被害が広がっていきます。海外のホステル特有というわけでなく、どの宿泊施設でも、日本にいても被害に遭う可能性はあります。
宿側にとっては、発生するとプロの害虫駆除に依頼しなくてはいけないし、ベッドバグが出たという噂は口コミなどですぐに広まってしまい営業に差し障るので、発生防止の対策は万全にしているところがほとんどです。
気をつけるに越したことはないので、対策をきちんとしている清潔そうな宿を選び、提供されるシーツは必ず使うようにしましょう。
個人宅(Airbnb, HomeAwayなど)
日本では2018年頃より民泊として個人の部屋を貸し出す宿泊形態が一気に広まりました。こういったシステムとしてはAirbnbが有名ですが、名前を聞いたことはあるでしょうか?
民泊というと、不動産会社や管理者などがマンションの空き部屋をどんどん貸し出し、外国人観光客がひっきりなしに出入りすることで住民が迷惑するという、負のイメージが強くなってしまったように思います。
もともとは、個人が持っている活用可能な資産(空き部屋)を使って経済活動をしようというシェアエコノミーという考えに基づいています。
日本国内でAirbnbに掲載されている場所は、ゲストハウスの一室だったり、会社が持っている空き物件を改修して貸し出してる家などが多い印象です。
海外では、子供たちが巣立って空いている部屋だったり、もと下宿のおうちを掲載するなど個人が運営していることが多く、そのオーナーも同じ家に住んでいる場合が多いです。シェアハウスの一部屋を数日借りるような感覚です。
Airbnbというサイトが掲載数も多く、使いやすいのでわたしも使っていますが、他にも同じようなサービスのサイトでHomeAwayなどもあります。
これらを利用する良い点は、
- ホステルと同程度の値段で個室に泊まれる
- 同居するオーナーとの交流があることが多い
- 基本的にキッチン、シャワールーム、リビングなどを自由に使える
- 地元の人の家に泊まるという体験ができる
- 事前カード支払いなので直接的な金銭トラブルが起きにくい
- 宿泊施設がないような郊外エリアに泊まれる
町の中心部から少し離れた場所で部屋を探せば、個室でふかふかタオル付、キッチンやシャワーも待たずに自由に使える部屋が、中心部にあるホステルの相部屋と同じ程度の値段で泊まれます。
同じ家で複数の部屋を貸している場合は、他の利用者と話をしたりごはんを食べたりすることもあれば、オーナーはいないことが多くてほぼ一軒を貸切、みたいなこともあり、本当に様々です。
物件によって宿泊条件は異なるので、部屋のリストを見て情報を集め、自分で調べたり、直接質問をするなどして、自分がいいと思う部屋を探す必要があります。
宿泊施設でない地元の人の家に入って部屋を借りることを通じて、彼らの生活や人生が垣間見えるでしょうし、それをきっかけに自分を振り返る機会になったりするかもしれません。
宿泊料は事前支払いなので基本的に金銭のやり取りはありませんが、洗濯機使用料、レンタサイクルが別途有料だったりすることもあります。
また、宿泊施設の少ないエリアに安く泊まれるという利点があります。
駅の周辺や町の中心部は宿泊施設が多く、自分に合った場所や価格帯を選ぶことができますが、たとえばフライトが早いので空港の近くに泊まるといった場合、ホテル以外の選択肢がなく、価格帯は高いことが多いです。
以前ニュージーランドに行ったときに、Airbnbを利用してオークランドの空港からバスで10分程度の場所に泊まれてとても便利でした。
一方気をつけたいのは、
- 宿泊業に関わらない素人の個人と連絡を取るので、場合によっては必要な情報が手に入りにくい
- サイトに記載の情報を読み、判断し、自分に合った場所を探す必要がある
- 町の中心部から離れた場所では移動が不便
- 個人宅なので看板などはなく場所を見つけにくい
- 稀に事前情報と実際が違うことがある
- 宿泊後にお互いの評価をつける(義務ではない)ため自分に悪い評価がつく可能性もある
ホステルやホテルは宿泊業という仕事ですので、情報がわかりやすくサイトに載っていたり、連絡をとる手段も確立していることが当然ですが、Airbnbなどを利用する場合は個人と連絡を取り合うことになるのでスムーズにいかないこともあります。
オーナーの性格や状況によっては連絡が遅かったり、現地の言葉で返信があったり(翻訳機能はありますが)、十分な情報が手に入らなかったりします。
事前に自分で正確な場所と行き方を調べたり、送迎サービスはあるのか、チェックインは何時に可能かなどを尋ねたりということを、全て自分から進んで行う必要があります。
個人宅のお部屋であることが多いので、道に案内があったり看板があることもなく、地図を片手に番地を頼りに探すこともあります。
また、様々な事情から、予約した部屋とは実際が違うこともあり得ます。以前キューバで利用したとき、オーナーの事情で予約したお宅には泊まれず、近所の別の方のお宅へ泊まることになりました。そのお宅があまり良い部屋とは言えず…。こんなこともあるんだなと思いました。
宿泊後は、次のオーナーや利用者への客観的情報としてお互いに評価や感想を残します。尊敬し合いながらいい出会いにして、いい時間を過ごすように努めたいですね。
いかがでしたか?
まずは前半の三つ、
- ホームステイ
- ゲストハウス・ホステル
- 個人宅(Airbnbなど)
について書きましたがいかがでしたでしょうか?聞きなれない言葉もあったかもしれません。これからの旅行や留学の際の選択肢のひとつとして考慮していただけたらと思います。
後半の二つは次のブログに続きます。