前の記事では「ロシアのビザ事情とビザの申請方法について」書きました。
ロシアのビザを申請するには「自力で申請する方法」と「旅行会社を通して代理申請をする方法」があります。この記事では自力で申請したい という方に向けて、その方法を詳しく解説したいと思います。
自力でビザを申請する方法
まずはビザの申請に向けて書類の準備や申請場所の確認を行いましょう。
自力申請の準備
申請場所と事前予約(東京のみ)
- 在日ロシア連邦大使館領事部(東京都港区)
- 在札幌ロシア連邦総領事館(北海道札幌市)
- 在函館総領事館分館(北海道函館市)
- 在大阪ロシア連邦総領事館(大阪府豊中市)
- 在新潟ロシア連邦総領事館(新潟県新潟市)
各場所で受付時間は異なるので、出かける前によく確認しましょう。ロシアの祝日は休みですが、日本の祝日はやっていますので開館しているかどうかもしっかり確認しておきましょう。せっかく出かけたのに休みだと二度手間になってしまいますので・・・
また、2019年6月から、大使館領事部(東京)でビザを申請するには、事前予約が必要になりました。東京で申請する方は、こちらの専用サイトから予約をしてから申請に出かけましょう。
事前予約システムを利用した詐欺行為を除外するため、領事部(館)はネット予約時にデータ登録をした人物に関する書類のみを受領します。システム上に表示されるデータと申請者が領事部(館)に提出した書類のデータとが一致しない場合は、書類の審査は行いません。ネット予約による割当て時間1回につき、提出できる書類は1件分のみとします。
「在日ロシア連邦大使館」 HP
予約後の変更、キャンセル、確認も同じサイトからできます。
いきなり英語で記入しなくてはなりませんが、要は、日本語で何かのサービスや予約を申し込むときと同じことが聞かれるだけです。
最初のページは上記参照部分の二文目と同じことが書いてあります。他の家族や同行の方のビザを申請する場合は、その人用の予約を別で取らなくていけないよ、ってことです。次のページでは名前、住所、電話番号、生年月日などを順番に書けばOKです。
その他の申請場所(ロシアの公式ビザセンター Interlink service )
これは、在日ロシア大使館のもとに運営されている公式のビザセンターで、申請者を代理して書類の提出と受取りを行ってくれます。 サイトはこちら。
前の記事「ロシアのビザ事情とビザ申請方法について」で代表的な代理申請会社として「ロシアビザセンター」と書きましたが、その会社とは別です。
名前が似ててすごくややこしいんですが、こちらは、「領事館に行く代わりにビザの申請が出来る場所」であって、「ビザの申請全てをやってくれる会社」ではないです。
領事館で申請する場合と同じ書類を揃えたうえで、代行手数料4500円を払います。郵送の申請も受け付けていますが、追加料金がかかります。
申請は平日(月~金)の9~15時(土日、日本の祝日休み)で予約が必要となり、受取は14~16時で予約不要です。
ちなみに大使館領事部での申請、受取はともに平日の9時半~12時半(土日、ロシア祝日休み)です。
ビザセンターの場所は大使館の近くなので、わざわざ代行料金4500円を払ってこのビザセンターを利用するメリットがある人は、平日の午後しか時間が空かないという東京(もしくは関東近郊)在住の人しかいないように思いますが、一つの選択肢として上げておきます。
必要書類の準備
申請に必要な書類は以下の三つです。
・申請者のパスポート原本。パスポートの有効期限は、申請するビザの出国期限より6ヶ月以上必要です。またパスポートの査証欄には、少なくとも見開きで2ページ以上の余白を必要とします。
・電子査証申請書(EVA)。申請書は、ロシア外務省領事局の専用サイト https://visa.kdmid.ru(申請書の記入手順について、ロシア語や日本語、その他の外国語による説明あり)にて取得し、ロシア語、もしくは英語で入力し、印刷してください。
・写真1枚。写真(パスポート用のサイズ4,5х3,5cm)を申請用紙に貼ってください。横顔やサングラス、頭に被いをした写真は受け付けられません。
「在日ロシア連邦大使館」 HP
必要なのはこの三つなのですが、二つ目の「電子査証申請書(EVA)」の作成のために、旅行会社が発行する「旅行確認書」と「バウチャー」というものが必要になります。
このバウチャーには、以下の情報がなければならないとされています。
- 旅行者のデータ(氏名、生年月日、パスポート番号)
- ロシア入国日および出国日
- 観光ルート、移動手段、宿泊場所、観光プログラム
- 旅行会社の署名と印
- 支払済み証明
- ロシアの受入れ旅行会社名とその旅行レファレンス番号
つまりバウチャーを取得するには、全ての旅程とホテルを事前に決めて、支払いも済ませなければならないことになります。そのため、「ロシアは自由にバックパッカー旅行できない」という印象があります。私もそんな印象を持ってました。
が!「空バウチャー」を作成するという手があります。
空バウチャーとは、架空の旅程表を作成してバウチャーを発行してもらうことです。
「え、架空??」ってなりますよね。そうなんです。偽の旅程表ということです。
ネットで検索すると、自分を含めて、多くの人がこの方法でビザを取得して問題なく旅行できてるのでオススメしたい方法ですが、正規の方法ではないことをご理解ください。
心配な方は旅行会社を利用してパッケージツアーの旅行を選ぶのも一案です。ツアーは前払いで旅程が決まっているのが普通ですからバウチャーが発行されますし、そもそも旅行会社がビザも取ってくれるでしょうから心配ないです。
空バウチャーを発行してくれる代表的な会社が「Travel Russia.su」と「Way to Russia」です。
料金はシングルの観光ビザ用バウチャーで、Travel Russiaが$15、Way to Russiaが$30です。(2019年10月現在)わたしは単純に値段が安かったのでTravel Russiaを使いました。
どちらも英語で申し込むことになりますが、記載する内容は難しくありません。Travel Russiaを使って空バウチャーを取得する方法を詳しく書いていらっしゃるサイトがあったので、こちらを参考にしてみてください。
申し込みをして支払いを済ませると、すぐに旅行確認書とバウチャーを一枚にまとめた用紙をEメールで添付してくれます。(メール以外の受け取り方法もありますが、メールが無料で早い)
すっごくあっさり取得できるので「ほ、ほんとにこれで大丈夫なのか・・・」とかなり不安になるのですが、実際大丈夫でした。
入国審査のときは緊張しながらバウチャーも用意していたんですが、確認されることはなかったです。(出国のときも同様)
入国後は空バウチャーで指定したホテルや都市に関係なく、自由に旅行できます。わたしはbooking.comなど安いホステルの検索サイトを使って宿を探したり、ロシアで会った友達の部屋に泊まらせてもらったり、ユルタというモンゴルでよく見かけるテントみたいな場所に泊まったりしました。わたしは使いませんでしたが、airbnbを利用しても良さそうですね。
バウチャー番号を含め、全ての必要事項を記入して電子査証申請書(EVA)を印刷し、写真を貼付して、必要書類は揃いました!
申請日の流れ
東京の大使館を利用の場合は、「自力申請の準備」で予約した日時に大使館へ。他の領事館を利用の場合は、開館時間、開館日に注意して向かいましょう。
以下は東京大使館での申請の流れですが、予約が必要であること以外は他の領事館でも同じような流れです。
日本貿易振興機構(ジェトロ)
ビザ申請に当たっては、a.在日ロシア大使館のウェブサイトを通じて申請日時の予約を行い、当該日時までにビザ部門に向かう。b.ビザ部門に到着後、予約時間になるとビザ部門担当者から名前が呼ばれる。c.名前を呼ばれた後、窓口に向かい、担当者に必要書類を提出する。d.担当者がビザ申請書類一式を確認する。e.その後、別の窓口において、引取日が記載された引換券を受領する、といった流れとなる。
また、東京の大使館で申請する場合に、申請手数料が必要なひとは支払い方法が銀行振込かクレジットカード(VisaかMastercard)のみとなり、現金支払いができないので気をつけましょう。各領事館の支払いについては特に記載がないので現金で行えます。(2019年10月現在)
ビザ受け取り
ビザの引換証(receipt)に書かれた引取日以降の受付時間に、再び大使館、領事館へ向かいます。
引換証を渡してパスポートを受け取ればOK。パスポートの査証欄に貼られたビザを見つけ、名前や生年月日などの記載内容に間違えがないか確認をして、任務完了!
滞在登録(Registration、レギストラーツィア)
ロシアの自由旅行のハードルはビザの他にもうひとつ、滞在登録(レギストラーツィア)というものがあります。
ロシアでは,1つの都市に連続して7労働日以上滞在する外国人に対して「滞在登録」が義務づけられています。
「在ロシア日本国大使館」 HP
それなら6泊までは滞在登録いらないんだ!となりそうですが、
なお,ホテルについては,滞在日数に関係なく「滞在登録」を実施する義務が課せられていますので,ホテル滞在時には「滞在登録」が行われます(但し,ホテル滞在日数分しか当該登録は行われません)。
「在ロシア日本国大使館」 HP
とあり、ユースホステルなどでは滞在登録をしてくれないこともあるのでしっかりしたホテルを選びましょう、と続くのです。
わたしの場合は、安易に「7泊まで連泊しないし、いらないんだなー」と思い、安いホステルに泊まったりしていました。宿側のスタッフから滞在登録について聞かれたこともないし、後半はロシアに慣れてきて、「まあ大丈夫だろう」と思い気にしていませんでした。
友人の家に泊まったこともありました。その場合は家の所有者が登録者になると聞いていたのでそのことについて友人に尋ねてみましたが、そもそも滞在登録とは何なのかも知らないようでした。ちなみにその友人は何度も海外からの友人を家に泊めています。
わたしの場合はそんな感じでしたが、恐らく本来は必要だったのだと思います。
わたしは滞在中や出国時に滞在登録を見せろといわれる場面は一度もありませんでした。ですので、名前だけの制度なんだろうと思っていましたが、わたしの友人が同じ方法でロシアを旅した際、ある地方都市で「バックパッカーらしき人たちが警察に滞在登録を見せろと言われているのを見て焦った!」と言ってました。
普通に観光していて、いきなり警察に滞在登録を見せろと言われることはないと思いますが、決して「わたしは大丈夫だったのでいらないですよ」とは言えません。。。心配な場合はきちんとホテルに宿泊し、滞在登録を出してもらえばなんの心配もいりません。
まとめ
自力でロシアの観光ビザを取得する方法を書きました。手間はかかりますが、自力で申請すれば安く済みますし、ロシアに慣れるという意味ではよい予行練習の機会になります。旅行が近づいているという実感もわきますよね。
ビザに関する制度がころころ変わるのはどの国も同じですが、ロシアの場合は新しい情報が在日大使館のサイトにもない場合もありました。そういう事情もあってグレーの部分が多い印象のロシアですが、信頼できる情報を得て楽しい旅行をお過ごしください。