わたしがオーストリアで魅了されたのは、クリムト以外にもう一人、画家であり建築家のフンデルトヴァッサーです。
もともと彼のことはオーストリア在住の友人さよちゃんにオススメされたのがきっかけで知り「言われてみれば作品を見たことはある」程度の知識しかありませんでした。
でもせっかく現地へ行くのだからと、彼の常設展示があるクンストハウス・ウィーン(フンデルトヴァッサー美術館。情報が少ないけど日本語対応部分あり)へ行ってみることにしました。
歩いて美術館へ向かう途中、人だかりを発見。
奇抜だけど不思議と周囲に馴染む変わった建物に集まる人々。…これってヴァッサー作品を調べたときに見た写真と同じだし、これもヴァッサー関連の建物、だよね?
近づいてみてわかったのは、ここは美術館ではなく、フンデルトヴァッサーハウスという市営住宅。
今も普通に人が住んでいるので中の見学はできませんが、外からこの特徴的な楽し気な建物を見ることができます。こんなところに住んだら楽しそう…!
このフンデルトヴァッサーハウスの向かいには、フンデルトヴァッサーヴィレッジというお土産屋さんやレストランが入った複合施設もあります。
どちらの建物もそのカラフルさと曲線を多用したデザイン、陶器やガラス、タイルをいたるところに用いた不規則な模様、そして植物の緑が目を引きます。
彼は環境と共存する建築を目指していて、デザインされた建物には植物がいろんなところから自由に出てきていて、それがすごく面白い。
その二つの施設から歩いてすぐのところに、目指していたクンストハウス(美術館)があります。
裏から見るとこんな建物。モザイクっぽい配置の黒と白がかわいい。
残念ながら美術館の中は撮影禁止なのですが、渦巻きや曲線、金・銀を多様する作品の数々は見ていて飽きませんでした。
建物自体もアミューズメントパークのようでわくわくします。
作品の中には悲しいモチーフや環境問題などを社会に訴えかけるものもありましたが、多くは見ているとにこにこしてくるような色の世界。
ついついポストカードを買っちゃいました♪
彼は日本で版画の製作をしていたこともあり、その作品には漢字で製作場所と名前のサインがあるので日本人としては勝手に親近感が沸きます。
美術館もとても良いのですが、併設しているカフェも素敵。
内装はもちろんヴァッサーデザインなので曲線が多くてカラフル。 緑の使い方がおしゃれ!
オリジナルのアップルシュトゥルーデル(applestrudel: 薄いパイのような生地で甘く煮たリンゴを包んで焼き上げたもの。ホイップクリームと一緒に食べる♪)が、価格もそんなに高くなくて絶品なのでお勧めです。
時期的なものなのか、時間的なものなのか、カフェは空いていてスタッフのお兄さんの接客もゆったりしていて、のんびり過ごしました。
実は、ウィーンにはもう一つヴァッサーの建築がありまして、それはシュピテラウのゴミ焼却場。
当時の市長が最新テクノロジーを使った環境に優しい施設にしようとヴァッサーに依頼したらしい。
もともとの建物に施された赤い装飾は温水を表しているそう。このゴミ焼却熱で電気と温水(暖房設備)をウィーンに供給しているんですって。
ちなみに大阪、舞洲のごみ処理場も彼のデザインです。
もう、大満足で一気にヴァッサーファンになったわたしは、その後2019年のニュージーランド旅行で彼の生涯最後の作品である公衆トイレをわざわざ見に行きました。
ここもよかった!のですが、ちょっと辺鄙な場所にあるので、時間に余裕があってよほどのファンでない限りは行かない場所かもしれないです。
こうして過ごしたウィーンの最終日。
お昼は無性に野菜とかヘルシーなものが食べたくなって、ファラフェル(ひよこ豆をつぶしてスパイスと混ぜて団子にして揚げたもの。中東料理)を買って食べ、予約していたシャトルカーでチェコへ向かいます。
ウィーンからチェコへ行くにはこのシャトルカーしか移動手段がない!と思ってましたが、もっと安いバスがあったみたいです。 そりゃそうか。
どうりで運転手がやたら丁寧で、宿の前まで送迎してくれるはずだわ~。
VIP扱いに気分良く新しい町、チェスキークルムロフに到着です。