現地に行くからできること


ポーランドに来た目的、アウシュヴィッツ・ビルケナウ強制収容所へは、宿泊していた宿が手配したツアーで行きました。

アウシュヴィッツ博物館には初の外国人ガイドである中谷さんがいらっしゃいますが、日程が合わず、毎日行われている英語のガイドツアーに参加しました。

中谷さんのガイドを勧められていたので残念ではありましたが、それでも行く価値は十分にありました。(英語の説明をすべて理解したとは言いがたいですが・・・)

団体入口から入ってすぐの管理棟には小さな売店があり、そこに日本語の公式ガイドブックがあります。

薄くて安い簡単なガイドブックですので、ぜひ買って読んでください。

ツアーで聞いた説明も、そこで感じた様々な感情も、情景も、平和な日常に戻ると確実に薄れていく。

物体は、わたしがそこへ行ったことを現実として思い出させてくれるので、忘れたくない場所では何か買ったり持って帰ったりするようにしています。

敢えてそう思っていなくても、思いの強い場所では無意識に何か買っていたりしますし、パンフレットやチケットなんかも、帰国後もなぜか捨てられないですよね。

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収容所に着くなり、すべての持ち物は没収された。これはおびただしい数の眼鏡。

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強制収容所内の様子は様々なウェブサイトやyoutubeで見られるので、敢えてここでは書きません。

ただ、わたしは、

正直に言うと、想像していたよりも動揺せず、悲しみや怒りや苦しさに打ちひしがれることもなく、淡々と、何かを身体に沁み込ませて置こうと思ってました。

文字や写真や言葉による説明、あるいは以前見た映画によって、ここで起こった悲惨な出来事を想像しようとしてみるも、

わたしにとっては、「京都のとある路地で数十年前に起きた人斬りによる暗殺を想像してみよ」というのと同じくらい、掴みどころのないぼんやりとしたものになってしまうのです。

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ビルケナウ行きの列車が到着するホーム。奥にはガス室、両わきには収容施設が並ぶ。

晩秋のポーランドは空が高く晴れて、雲がぽつぽつとはっきり浮かぶ気持ちのいい気候。

周囲を広く緑に囲まれた、ここアウシュヴィッツ・ビルケナウ強制収容所は、大きな公園や大学といった様子であり、どうしても、ここで有無を言わさずガス室に送られ、女も子供も訳もわからず数万人が死に、その死体を囚人が処理し、その囚人もまた殺されていくなんて、想像できないのです。

想像はできないけれど、五感を使って何かを感じ取ってそれを覚えておくことはできる。

ユダヤ人がヨーロッパ各地から貨物車に詰め込まれて送られてきた、そのときと同じホームやレールを踏むことはできる。

彼らが人生の最後に見たかもしれない、同じような空を同じ場所から見上げることもできる。

それらを身体に沁み込ませておけば、わたしの人生のどこかで何かとつながるかもしれない、とてつもないことを学ぶかもしれない、歴史を改めて見つめ、現在に活かせるかもしれない。

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ガス室跡。ユダヤ人解放直前、証拠隠滅のためドイツ軍によって破壊された。

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そんなことを考えながらクラクフへ戻りました。

わたしの今回の旅にとって、ポーランドは思い入れのある場所になりました。