ある商店の記憶


VIPカーで優雅に着いたのはチェコの南側、オーストリアから近いチェスキークルムロフ(cesky krumlov)という小さな町。

町の真ん中を川が流れ、その川沿いに教会があり、高台にクルムロフ城がある町です。

建物の屋根が赤くて、ちょっと古びた感じが可愛らしい。

それほど高くない場所にあるお城から町を見下ろすと、建物の様子やそこを歩く人、レストランやカフェが見えて、そののんびりした空気が伝わってきます。

 

宿に到着するとスタッフが不在で、ドアに鍵がかかっていて入れない。

わたしは新しい場所に着くとどんな町なのか早く見てみたくてうずうずする性分。

ここは治安が良さそうだし、小さな町だし、物が盗まれることもないだろうと思い、荷物をドアのそばに置いて宿の周辺をうろうろしてみました。

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ほんの5~6分荷物から離れ、宿へ戻ってみると、ある親子(美人娘と太った優しそうな父)が電話をかけながらドアの前で困惑した様子で立っていました。

わたしが近づくと、流暢な英語でこの荷物はあなたのものか?ここは安全な町だけど置いておくのは危ない、宿の人に電話をしたからあと5分で来るよ、と優しく話してくれました。

この人たちは宿の知り合いでも何でもないただの通行人なのに、当然のように心配して対処してくれて、静かに去っていきました。

言うまでもなく、わたしのチェコ人の第一印象はとんでもなく良いものになりました。

チェコは英語はあまり通じないことが多いけれど、愛嬌のある人によく会った気がします。

それと美人が多い(気がする)。

何よりオーストリアより物価が安い。特にビールとチーズ!

 

チェスキークルムロフ滞在中はあいにくの天気でした。

天気の悪さと人が少ないことで、どことなく寂しい感じが漂います。(各国の団体観光客はそれなりにいるのですが)

 

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そんな、古く物寂しげな町を冒険するような気持ちで彷徨い歩き、小さいけれど素敵な雑貨屋に出会ったり、不思議なギャラリーに入ったり、お昼ご飯のレストラン選びを失敗したりした後(ロシア人団体観光客ばかりで居づらかった)、クルムロフ城内を見学し、宿へ戻りました。

前日まで満室続きで人が行き交う大きなホステルに泊まっていたので、こじんまりした温かみのあるここのホステルはとても落ち着きぐっすり眠れましたよ。

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オーストリア、チェコ、ハンガリーあたりで定番のグヤーシュというスープ。国やお店によって見た目も味も全然違う。

 

お城や町並みももちろん素敵だったのですが、個人的に妙に印象に残っているのが、町の中に数店ある小さな商店。

野菜からお酒、日用品、文具、服、お菓子までなんでもあり、夜遅くまで営業している(と言っても22時まで)コンビニ的な存在。

店内は狭く、暗く、雑然と物が置かれ、パンは段ボールに無造作に入っている状態。ちょっと衛生面や賞味期限が気になる雰囲気。

しかもレジのアジア人のおじさんは愛想が良くない。

ですが、なぜか印象深いのです。

おそらくはオーストリアとの違いが新鮮だったことと、地元の若い子もおばさんも生活の一部としてその小さな商店を利用している、そのなまなましい生活感がそのときは落ち着くものだったから。

そしてそこに外国人であるわたしもなんとなく溶け込めていたから。

思い返してみるとこんなちょっとした場所が、妙に印象に残ってるものですね。

 

ロシアからチェスキークルムロフまでは何となく旅程を決めていたのですが、その後は本格的にノープラン。

とりあえずは首都プラハへ向かいます。