【ルーマニア】豪華な巨大遺産をもつ首都ブカレストについて考えた

ブダペスト(ハンガリー)で首都も悪くないなぁと考えを改めつつも、

やはりルーマニアの首都ブカレストにはあまり長くいたい感じがしなかったので、一泊だけの予定で来ました。

シビウで会ったジェシーのお勧めの宿に着いて、予約している旨と名前を名乗ると、

「君の名前(つばさ)は男の人に多いよね。予約の名前を見て男の人かと思ってた!」

とオーナーのマリウス。

東ヨーロッパの片隅で、この名前が話題になるとは思わなかった。

スタッフの1人に日本が大好きな子がいて、日本の話をよくするそう。

道理でかなりの日本贔屓で、初めて会ってから20分くらいで

「冬の間、撲はタイに行く予定なんだけど、その間ここで働かない?日本人なら信頼できるし」

と仕事のオファーまでもらいました笑

残念だけど、と断りましたが、マリウスはわたしと同じ職業(わたしは作業療法士、彼は理学療法士)で同世代、わたしもタイが好きで何度も行ってるよ、

という話で盛り上がり、楽しい滞在になりそうなスタート。

実際、この宿はすごく過ごしやすくて、いろんなサービスが行き届いてたし、ベッドも快適で深く眠れました。

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ブカレストは大きな都市ですが、街中に大きな公園がいくつかあります。

宿の近所にも大きな公園(Carol park)があり、そこにある第一次世界大戦で命を落とした兵士の霊廟前で、衛兵交代が二時間に一度あるとのこと。

近所だし行ってみよう!と時間ぎりぎりで慌てて行ったものの、灯りが少ない大きな公園内は夜になると森の中のようで、割と恐い。

しかもこういうときにお決まりのように迷う。

すれ違った若い男の人が(たぶん)親切心から「迷ってるの?大丈夫?」と声をかけてくれたけれど、

それもなんだか恐く思えて、立ち止まらずに「大丈夫!ありがとう」とすたすた足早に歩き去る。

やっと霊廟を見つけたときには、またお決まりのように1分遅くてちょうど終わったところ。

頑張って歩いたのになー…

公園の高台になっているところに霊廟があり、その前をまっすぐに道が続いていて、スケートボードをしたりダンスをしたり散歩をしたりする人が結構多くいました。

ここは普通に大きな夜の公園で、さっき感じたような恐いところではないっぽい。

その後ぶらぶらと歩いて帰り、宿に戻るとオーストラリアから来たという青年の激しいオージー訛りの英語が全然聞き取れなくて打ちのめされ、凹みながらベッドへ行きました。

翌朝、出かけた先は国民の館というブカレストで唯一見てみたいと思った場所。

チャウシェスク大統領が宮殿として建設させた、豪華絢爛、巨大な建物で、未だ建設中らしい。

3000もの部屋があり、1500憶円!かけられた、アメリカのペンタゴンに次ぐ世界で二番目に大きいというこの建物へ、見学に行ってきました。

大きすぎて大分離れたところからじゃないと全体が見渡せない。

これは側面。

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こっちが正面。

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見学は数人のツアーで説明を受けながら進むので、あまりゆっくり見られないのと、

その日のイベントやスケジュールによって限られた部屋しか見られないのが残念。

更に、内部を写真撮影する際は別料金を支払わなければならない。

なんだか癪で払わなかったけど、写真撮ればよかったかな…と後でちょっと後悔。

内部は大理石やシルク、ベロアなど高級な材料を用いて非常に豪華に造られています。

金をふんだんに使った見た目で豪華さを放っているロシアの宮殿や博物館とは違い、高級素材のどっしりした豪華さが際立ちます。

だけど、全体のスケールが大きすぎて、せっかくのその豪華さの価値が途中でよくわからなくなる。

全ての部屋が使われることは絶対になく、ブカレストの市民が有意義に、自由に使えることもなく、

広すぎて掃除が全てに行き届くこともないだろうこの巨大な建物は、

庶民のわたしからすると大いなる無駄に思えてしまう。

かと言って、今更どうにもできず、完成させるしかないのでしょう。

どうにか観光資源にしたり、少しでも利用していくしかないのでしょう。

維持費は、これからもどれだけ市民を圧迫していくんだろう。

負の遺産と言われるのも頷ける、なんとも苦しい建物でした。(マリウスは誇りに思ってるようだったけど)

ブカレストの町中は車や人が多く往来する忙しさはありますが、建物はみな大きくて古く、味があってわたしはいいなと思いました。

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ですが、こういう大きな建物がすべて有意義に使われているとは思えず、改修や整備もされてなさそうで、中には全く使われてなさそうな建物もありました。

首都の町中なのに、普通に野菜や花の売り子がいるというのも素朴さが残ります。

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結果的に10日間滞在したルーマニアは、たくさんの魅力を十分に発信し切れておらず、もったいないと感じる国でした。

隣のハンガリーは、国が観光にも力を入れて取り組んでいて、ルーマニアとの差が広がっていると地元の人が言っていました。

アフリカからの移民も、ハンガリーより西へどうにか行こうとするけれど、ルーマニアには留まらない、と。

個人的には、観光地化しすぎた場所も魅力半減になるので悩ましいところだけれど、

工事途中だったり、既存の物を活かしきれていなかったりするところが目立つので、

もう少し整えて、国を挙げて観光業に力を入れれば、もっと魅力的なところになりそうだなと思いました。

さて、久しぶりの長距離バスで次に向かうのは、国境を越えた隣の国、ブルガリアへ。