ある路地の記憶


張り切って3泊4日を充てたローマ観光ですが、結果的にわたしとしては1~2日で十分でした。

なぜかと言えば、ここは世界的に有名な観光地なので、当然ながらどこに行っても世界中からの旅行客、ひと、ひと、ひと。

どこも混んでいて並ばなければならず、押し合いながら目当ての物を見て写真を撮って、次へ向かう。

まぁ、わたしもその中の一人なのですが…。

どのレストランに入っても、お土産屋さんや美術館に入っても、英語表記があり、スタッフの方は英語が話せて、バスや宿泊施設も多くて観光しやすく整っています。

便利だけれど、わたしが求めている混沌さとか不便な場所を自分のテリトリーにしていく感じとかそういったものではない。

長期旅行者にとっては、物価の高さも、行動範囲を狭めて気持ちが高ぶらない一因だったかもしれません。

 

どの教会も天井や細部まで手の込んだ素晴らしい装飾、

どの広場の噴水にも手の込んだ彫刻(不思議な動物とともにポーズをとった半裸の男性の鼻の穴から水が出るなど、センス抜群過ぎて笑えてしまうが)、

スペイン広場やトレヴィの泉などの有名な観光地(どちらも工事中だったけど)、

と見どころ盛り沢山なのですが、どうも「ローマに来たなら見とかないと」という義務感のようなものに動かされているだけな気がしてしまう。

ヴァチカンの観光は楽しみにしていた一つでしたが、大聖堂も礼拝堂も壮大過ぎて、そしてとても混んでいて、そのときのわたしには、それらが心に響くまでに至らなかったのでした。

ヴァチカン美術館

ヴァチカン美術館の出口

そんなわたしが、世界的観光地で最もときめいた場所は、名前も知らない路地でした。

決して広くない、洗練されているわけでもない通りに、いくつものレストランやカフェやジェラート屋が並び、観光客や地元のひとが外のテーブルに集って飲み食いしている普通の路地。

角を曲がると奥の通りには植物で覆われた不思議な一軒があったり、窓辺にマリア様の絵が掲げてあったり、ウエイトレスの若い女の子が暇そうに欠伸していたりする。

全てがなんとなく薄茶色で、もったりした雰囲気でしたけれど、なんだかすごくよかった。

気分が上がらない中で、もうひとつ助けになったのは、宿で会った人たちがフレンドリーで面白かったこと。

ニュージーランドから来た大柄な姉妹、イギリス人の若い女の子、オーストラリア人の気さくな男の子、インド系のオーナーなどなど。

みんなで安いワインを買って飲んだり、ジェラートを食べに夜中に出かけたりと、旅人同士というよりはシェアメイトのような感覚で気楽だった。

テレビや教科書で聞いたり見たりしたものを一通り見て回り、食べたい物も一通り食べ、時間を持て余し気味で次へ向かいます。

自分が好きな場所かどうかというのは、行ってみないとわからないと改めて感じた場所でした。