デリー初日の長い朝


エアポートメトロでニューデリー駅までスムーズに到着し、頼れそうな身なりの整ったインド人にはあっさり別れを告げられ、結局は一人で立ち向かうニューデリー駅。

ホテルやレストランなどが立ち並ぶメインバザールは、エアポートメトロの駅からニューデリー駅を通り抜けた向こう側にあります。

早朝のまだ暗い中、駅へ向かう。

後から知ったけれど、日中であれば溢れんばかりのリキシャ(三輪自転車の荷台に座席があるものやオートバイの後ろが座席になっているものも。タイでいうトゥクトゥク)やタクシーの運転手に囲まれることになるこの場所も、早朝だったのでかなりその人数が少なかったらしい。

それでもだいぶ緊張していて、敵陣へ果敢に突入する気分。四面楚歌。

「全員無視すること」

なんて言われてきたものだから、(おそらくは)かなり強張った表情で脇目もふらず、だけど目に映るものから最大限の情報を引き出そうと集中しながら、足早に歩いて行きます。

 

駅を越えるための陸橋へ続く階段の入口は、わりと簡単に見つかりました。

その入口には空港の保安検査にあるような荷物検査の機会があり、係員らしき制服を着た男性が座っています。

怯んだら負けだと思い、慣れた風を装って荷物を置こうとすると、

「どこへ行くんだ?電車のチケットはあるのか?チケットがなければ駅へは入れない」と言われる。

「わたしはメインバザールへ行きたいだけ。駅へ入るためにチケットは必要ないと聞いた」と答えるも、

「いや、必要だ。向こうで帰るから買ってこい」と言われる。

これはお決まりのパターンの詐欺で、駅を通るためだけにチケットなんてもちろん必要ないのです。

知ってはいたけれど頑固でしつこい。

無視して進もうとすると大きな声でチケットを買えだの、警察を呼ぶだのと言って通そうとしない。

周囲に集まる人々もそうだそうだと言わんばかりでこっちへ詰め寄る。

あぁ、もう、駅を越えるだけなのに、何なんだ。

実は入場チケット制になったの?

陸橋は一つしかないのだろうか。

 

とりあえずその場を離れ、心細さと苛立ちを抱え、泣きそうになりながら別の陸橋を探していると、前方から救世主登場。

未知の国インドで信じられるのは、立場が同じバックパッカー。

しかも前方から来る彼らは、頭はドレッドヘアーで腕や耳にアクセサリーをたくさんつけた、見るからにインド慣れしてそうな風貌。

早朝であることもあって、駅に人が少ない中彼らに出会えたのは本当に運がよかった。

助かった!

 

彼らはイスラエルから来たカップルで、予想通りインドは数回訪れているという本物の慣れた人たち。

先の出来事を話すと、「あぁ彼らはよくそう言うよね。チケットは必要ないよ。僕らもメインバザールへ向かうから一緒に行こう。」と。

しかし結局、同じ陸橋の入口にそのカップルと一緒に行った時も、例の制服を着た人からは同じことを言われて頑として通してくれなかったため、別の陸橋を探して無理矢理渡りました。

そのときも別のインド人にチケットを迫られていたので、後ろから脅し文句を叫ばれながら。

緊張しながらもやっと渡れた陸橋。ほんとはもっともっと写真が撮りたかった。

 

薄暗い早朝のメインバザールは、とても静かでした。

少しの隙間もなく並ぶ店のシャッターは全て閉まっていて、頭上にめぐらされたきらきらした安っぽい装飾がちらつく以外はしんとしていました。

わたしはツアーの主催者であるイゴールに指定されたホテルを実にあっさり見つけ、宿探しを続けるイスラエルカップルとはそこで別れました。

昼間のメインバザール

夜のメインバザール

とにかく品数が多い。ヨーロッパから節制していた物欲がMAXに。

わたしが彼らに会わずにその後も一人だったら、どうしただろう。

なんて長い一日。

たくさんのことをこなしてきた気がする。

行きたかった場所に無事に辿り着けて本当に良かった。

部屋に入って荷物を下ろし、重い靴を脱いでベッドに横になったら本当に安心して、「インドって意外に暑くないんだなー。」とか思いながら寝てしまいました。