【ラトビア】ホステルで輪に入らないという自分らしい選択をした話

田舎の風景というのは、どの国でも美しいですが、エストニアのタリンからラトビアのリガへの移動の風景もとても壮大でした。

ちょうど夕方だったこともあり、広い大地に沈む夕日と赤やら紫やら刻々と変わる空の色を眺めながらの移動でした。

この移動で利用したのは、Lux Expressというバス会社。

バルト三国を含め、ロシアやポーランド、ドイツ、チェコ、オーストリアなど10カ国の各都市を結ぶバスです。

ヨーロッパの移動で何度か利用しましたが、インターネットで予約ができるし、全席に映画を見たりゲームができる個別スクリーンがあり、バスの中にはwi-fiがあり、電源もあり、コーヒーマシンもあって無料のコーヒー飲み放題(しかも美味しい)という、非常に快適なバスです。

値段もそれほど高くない。(ここ大事)

ヨーロッパの移動では是非使ってみてください。便利ですよ。

4時間半のバス移動を経て、リガ到着は19時。前日のタリンに到着したときは真っ暗になった22時だったので、宿までの道に迷って大変でした…。

なので、夜の到着はなるべく避けたいところですが、すでに予約していた飛行機が次の日だったので日程に余裕がなく、またしても夜到着。

今度こそ迷わないように、バスステーションから宿までの行き方が詳しく説明してある宿にしてみました!

…と、準備万端だったのですが、それまでよく読んでいなかった宿までのアクセスの説明がすごく複雑で、

「橋の下の道を抜けると大きなショッピングセンターがあるので、そこを通り過ぎた角を右折し、目の前に見える地下への道を進む。すると地下は数店の店を中心とする円形状に広がって地上への道が各方面に出ている。中心から反時計回りに三つめの地上への階段を上ると、マクドナルドが見えるので・・・」

ていう感じだったので、今回も迷いました。。。地下道までは行けたんですけどね。そこからはもう、理解できずにうろうろ。

次回はわかりやすい場所にある宿にしよう。うーん、自分、詰めが甘い。

結果的に、地下道からたくさん出ている地上へ出る階段を、ひとつずつ上っては地上を見渡し、やっと目印のマクドナルドを見つけてそこへ向かって進む。

さてここからどう行くんだっけ、と地図を取り出していると、すごく唐突に、

「宿、探してるの~?」

と、日本語で話しかけられました。

顔を上げると、長いドレッドヘアの日本人(日本語流暢だし見た目的にも、たぶん日本人)のお兄さん。

あれ、ここラトビアだったよな、日本じゃないよな?ってぐらい気軽に、躊躇ない感じで話しかけられてぽかんとしてると、

「宿だったらあの角曲ったところにあるビルに、いくつか安いところあるよ」

「あ、あぁの、あの、たぶんそのうちのひとつに予約をしているので…」

「あー、そっか。じゃ、大丈夫だ。気をつけてね~。」

という、唐突な道案内を受けました。その後彼は、現地の友人っぽい人たちとどこかへ行ってしまいました。

旅先で日本人に会うと、一目で日本人だとわかるものですが、やっぱりちょっとお互い距離を図るというか、話しかけるまでためらいがある気がします。少なくともわたしはそうです。

でも、このお兄さんはそれが微塵もなかった。

海外生活が長いのかもしれないし、もしかしたら海外で産まれ育っているのかもしれないけど、なんか衝撃的でした。こういう日本人もいるんだなぁと。

言われた通りマクドナルドを過ぎた角を曲がると、ビルへの入り口があり、その中にいくつかの宿がありました。

やはり、わたしが予約していた宿もその中の一つで、こうして無事に辿りついたのでした。

ネットでの口コミ評価に違わず、キレイな部屋、感じの良いスタッフ、広い共有スペース。

チェックインした時、台所が併設してある共有スペースでは、宿泊者らしき人たちが20人ほど集まってお酒を飲みながらゲームかなんかをしている様子。

わたしは案内された部屋へ入り、荷物を出したりベッドメイクをしたりしていると、誰かがドアをノック。

受け付けに忘れ物でもしたかな、とドアまで行くと、そこには流暢な英語を話す香港人のスタッフがいて、自己紹介の後に「みんなでこれからパブに行くけど一緒に行かない?」のお誘い。

これはこのスタッフの個人的なお誘いではなくって、宿の独自ツアーの「Pub crawl」でした。

主催者おすすめの地元のパブを案内してもらい、みんなで数件はしごして飲むというもの。大抵、参加費は€5程度で、自分が飲むお酒は自分で払うというシステム。

お酒が好きで、たくさんのひとと出会いたいひとにはぴったりのツアーで、とくに欧米の旅行者に人気です。

この日のPub crawl開始時間にはまだ余裕があったので、リビングで飲みながら参加者を集っていたところでした。

わたしはパブもお酒も好きだけど、たくさんの人がいる中ではその場のノリについていけないことがあるので、大人数で飲むのはちょっと苦手です。

ですがこのときは、誘ってくれたスタッフの愛想がよかったことと、ヨーロッパに来てから誰かと親しく話す機会がなかったので、知り合いを増やす良い機会だと思ったこともあり、仲間に加わることにしました。

友達できるかなー、Pub crawlって初めて参加するけどどんな感じなのかなー、といそいそとリビングへ。

ですが。

すでに何杯かみんなで飲みながら、ゲームを通じてある程度あたたまった場には、なかなかうまく入っていけない。

何杯か飲みながら、隣のひとや近くにいるひとに話しかけてみるも…うーん、疎外感。

これは、このままパブまで行っても楽しめないなぁと思い、出かけるみんなを見送り、宿に留まることにしました。

ロシアを旅行中、シベリア鉄道の中でも思いましたが、こういう輪に入れずぽつんとしてしまう状況のとき、今までは「なんで楽しめないんだろう」と激しい自己嫌悪に陥ることが多かったのですが、このときは「やっぱり大きな団体の中に入っていくの苦手なんだなー」って思っただけで、嫌な気持ちにはなりませんでした。

これって、ある人にとっては「気にすることないでしょー!」っていう当たり前のことかもしれませんが、自分の行動や考え方が嫌いで、うまくいかないときにいちいち落ち込んでネガティブになっていたわたしにとっては、わりと大きなことなのです。

自分のペースと好みを選んだ自分を、「ちょっとは成長してるんかな」と思いながら、静かになった宿でゆっくりシャワーを浴びて、部屋から外の景色を見たり、旅の計画を立てたりして過ごしたのでした。